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大館市新庁舎建設についての商工会議所の言い分とは?(2)追記あり [地域のニュース]

前回に続いて、大館商工会議所の言い分についてもう少し書いてみたいと思う。
もちろんこの案に賛成する人もいれば、反対意見の人もいるだろう。
特に現市庁舎周辺の住民にとっては迷惑この上ない話であり、自分たちの生活
基盤を破壊するのか!というのが正直なところだろうと思います。

この点に関しては両者が意見を出し合い議論を重ねて打開案があるかどうか探り
ながら着地点を見出していくしかないだろうと考えます。しかし、これまでこうして
具体的に大館の将来を考えていくグランドデザインを出してきた経緯もないことから
私としては素晴らしいことだと思っています。

周辺の北秋田市や小坂町、鹿角市は産業振興策が浸透していて、観光処点が
整備され毎年多くの観光客を呼ぶことで収益を上げてきています。大館市がこれ
からも農業を基盤として発展していくのか、あるいは大きく舵を切って観光市と
しての道を歩んでいくのかという岐路に立っていると思います。

大館市は交通路としてみると大変恵まれた地域にあると思っています。奥羽線と
花輪線の連絡地点であり、近くには大館能代空港もできています。ところがこの
経路を十分活かしているとは思えない。また、大館市周辺を見ても観光地に乏し
いことから夏の祭典や飴っこ祭り、きりたんぽ祭りなどの多彩な催しで集客を
図るのが今いちばん良い方向ではないかと思います。そうして観光客を増やしな
がら周辺の観光処点の整備を進め(この整備は10数年かかると思うので)ていく
のが良いのではないかと考えています。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回大館商工会議所の分庁案では
25年後の大館の姿として何点かの問題点を上げている。
1)大幅な人口減少の問題 7.7万人から4.8万人に減少
2)急激な高齢化率の進行 25年後は2人に1人が高齢者
3)合併特例債を使用した場合残る借金が10億

この3つをキーワードとして上げている。人口減少と高齢化は密接に関係していて
今のように若者が卒業したら大多数が県外に出ていくのをただ眺めていたら、
間違いなく大館市は老害県となってしまうだろう。高齢化に伴う労働力の大きな
減少と日常の足となる車に乗れなくなることで起こる不便さなどが出てくる。

そのため、離れ行く若者の流出をい食い止めるには産業構造を農業主体から
物産販売・製造、観光産業などへの転換を図っていく必要があり、そのためには
市の中心部にどうしても広大な駐車場が必要だというのが商工会議所の主張
するところではないかと思う。ただ、市の中心部は交通網が整備されているとは
言い難く、住宅も密集しているのでこれを何とかしないといけないと思う。

他県から多くの観光客が訪れるということは車の流入量が大幅に増えることを
意味するので、現在の大館城址周辺の区画整理もある程度必要だと思う。
この場合、その予算をどこから捻出するかだが、すぐには無理なので数十年と
いうスパンで計画していかないと難しいだろう。

また、大館市内を観光処点とするなら市内から離れた地域は農産業の振興
を行い、地域特産品を育てる必要があるだろう。昨年から生産量が大幅に伸びて
いる枝豆などがそうですね。このほかにも特徴のある物産品を開発してPRして
行くことが産業力を強め、若者が働ける場を増やすことになるだろうと思います。

最後の3番目の予算面でも合併特例債の問題が指摘されています。合併特例
債と言うのは旧法で市町村合併を平成17年3月までに行った市に国から特例で
整備に供与されるものですが、新法では認められておらず、この申請期限が
平成27年度(来年)となっているので、市としてはそれまでに何とか申請にこぎ
つけたいという思惑があることも確かです。財政計画の95%まで特例債として
使うことが認められ、そのうち70%が地方交付税として戻ってくるというものです。
問題は35億円のうち、25億円は地方交付税として戻ってきますが、残り10億円
は市民税で賄わないといけないということです。
合併特例債は17億円の申請になるようです。それでも市民の負担は7億円です。

また、この合併特例債には大きな落とし穴があり、本来70%戻ってくる地方交付
税が交付率が将来変更され極端な場合には50%しか戻ってこないこともあり得
るからです。今の国の財政状況から確実にこの地方交付税は何らかの理由をつ
けて減らされてきています。そのため、将来的に地方交付税が減額されないという
保証はないということです。
参考資料:合併特例債の問題点

私は間違いなく減るとみています。そうした場合、大館市民の負担は7億円では
なく10億円に膨れ上がる可能性もあります。人口も減少して税収も減っているのに
どのようにしてこの借金を返済していくつもりなのでしょうか?

この点では分庁案で総建設費を20億円に抑える商工会議所の案の方が現実的
だと思われます。商工会議所案では市民の負担が4億円で済むということです。
しかし、それでも返済は苦しいでしょう。

実際に平成23年度の市民税の総額は約80億円です。そのうち職員と議員の人
件費に60億を使っています。市税がこの先細ると人件費でなくなってしまう恐れ
があり、返済原資に乏しくなることが予想されます。

注)市の平成23年度予算総額は350億円でほとんどが地方交付税や国庫出資金
に頼っていて、市税だけではとっくの昔に破産状態です。もっとも日本全国のほと
んどの自治体がそうであり、うるおっているのは東京都や大阪府、京都府などの
大所帯だけです。問題は今後頼りにしている地方交付税が減らされると問題にな
るということです。

ここまでいろいろ買いいてきましたが、残念ながら特例債の申請期限が来年度に
迫っている以上、市としては市民からどのような意見が出されても現行案を変更
する意思はないだろうと思われます。もし、この機会を逃せば二度と予算の原資を
得る手段がなくなるからです。また、条件として比内と田代の機能を大きく減らし
一カ所に集約させることが求められているのでなおさらです。
この点は前回行われた市との意見交換会で全く歯車が合わず、市の説明に終始
する形で終わったのが、そのことを裏付けています。
また、仮に特例債利用に踏み切って、25年後以降に財政が窮迫したとしても、その
時には今の決定を下した職員や議員はいないので、結局市民がそのしわ寄せを
受けるだけで行政が自らに責任を問うこともないでしょう。


議論を持ち上げる時期が遅かったようです。
ただし、市が特例債を使うのをあきらめ、現在の予算で可能な商工会の案を妥当
と判断することができればあり得る話でもありますが・・・。自治体のメンツを考える
と難しいでしょう。
残された望みは来年度の市長選で新しい市長が誕生(商工会議所案を推進する)
すれば風向きも変わってくるかもしれないと思われます。


本日の午後1時半から中央公民館、午後4時から北地区コミュニティセンターで
市民との意見交換会を行う予定様ですので時間のある方はどうぞ。


(追記)
文中の合併特例債であるが、平成24年6月20日に東北大震災被災地では合併後
20年間、それ以外の地域は合併後15年間特例債を利用できる法案が成立している。
http://www.town-yosano.jp/open_imgs/info/0000008804.pdf
そのため、大館市は平成17年に比内町と田代と合併しているので、特例債の利用
期限は平成32年まで延長されています。

従いまして、市の特例債利用決定まで多少の猶予期間はありますが、いつかの新聞
紙上では平成27年度に決定する予定と書かれていた気がしますので、それほど余裕が
ないのかもしれません。


今回の市庁舎立て直しに関する議論については遅きに失した感もあるが、これまでの
ような一部だけの議論で終わらせずに市民全体の問題として提議した意義は大変大き
いと思います。また、これからの大館市を市民全体で考えるきっかけとなる一石を投じた
と言う点で十分評価できると考えます。




2014-08-02 09:56  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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